【第45回東京モーターショー2017】 速報 【ベンツ編】

【第45回東京モーターショー2017】 速報 【ベンツ編】

日本のクルマメーカーといえばTOYOTAですが、世界のクルマメーカーといえばベンツを思い浮かべる人が多いと思います。トヨタ編パート1に続いて、ベンツのコンセプトカーを紹介したいと思います。

目次

ワールドプレミア:メルセデス AMGショーカー「Project ONE」

外観

惚れ惚れとする造形美、何とも言えぬ綺麗なシルバー、撮影していてこの色をどのように表現できるかを苦労しました。アイキャッチにも使った画像はグラフィックのような仕上がりとなっておりますが、無修正となっております。

プレス資料抜粋

メルセデス AMG、フォーミュラ 1テクノロジーを公道モデルに応用

メルセデス AMG では AMG 設立 50 周年を記念し、今回のフランクフルト・モー ターショー(IAA)において、2 シータースーパースポーツ ショーカー「Project ONE」をワールドプレミアします。この Project ONE は、最新の高効率本格フォ ーミュラ 1 ハイブリッドテクノロジーを初めて、ほぼそのままサーキットから公道 へと開放しました。現在の予測値で最高出力 1,000PS 以上、最高速度 350km/h以上のハイパフォーマンス ハイブリッドとなっています。レーシングカー のずば抜けたパフォーマンスと、模範的なエネルギー効率によって実用性にも 優れたフォーミュラ 1 ハイブリッドテクノロジーを融合させた世界初のクルマ、 Project ONE を実現する取り組みは、メルセデス AMG が全体を統括しています。 その複雑な開発作業は、メルセデス AMGハイパフォーマンス・パワートレインズ社 (本社:イギリス・ブリックスワース)のフォーミュラ 1 エキスパートのほか、メル セデス AMG ペトロナス・モータースポーツチーム(本拠地:イギリス・ブラックリー) とも緊密に協力して進められました。メルセデス AMGProject ONE は、4 ドアの AMG GT コンセプトに続いて、メルセデス・ベンツのスポーツカーブランド AMG が追求する未来のパフォーマンスハイブリッド駆動戦略を示しています。
レーシングカーのテクノロジーを、公道を走るクルマに応用することは、モーター スポーツの黎明期からこれまで、エンジニアたちの夢でした。メルセデス AMG は今、この夢をきわめて高いレベルで実現しようとしています。ダイムラー社 取締役会会長 兼 メルセデス・ベンツ・カーズ統括のディーター・ツェッチェは、 次のように述べています。「モータースポーツは私たちにとって、それ自体が目的 なのではありません。熾烈なレースの世界を生き抜くためにさまざまな技術を 開発していますが、その技術は後から量産車にも役立つのです。コンストラクターズ とドライバーズの世界タイトルをそれぞれ 3 回獲得した経験と実績を生かし、 私たちは今回初めて、フォーミュラ 1 テクノロジーを公道走行可能なモデルに 応用することに成功しました。それがメルセデス AMG Project ONEです」。
ダイムラー社取締役ダイムラーグループリサーチ、メルセデス・ベンツ・カーズ 開発統括のオラ・ケレニウスは、次のように述べています。「メルセデス AMG Project ONEは、フォーミュラ 1マシンとして初めて公道走行認証を取得しました。 超高効率ハイブリッド アッセンブリーはモータースポーツより採用したもので、 その電気駆動フロントアクスルはパフォーマンスと低燃費の見事な両立を生み 出し ています。このハイパーカーは、システム出力 1,000PS 以上、最高速度 350km/h 以上と、その外観のとおり、息を呑むような素晴らしい走りを約束します」。
今回のコンセプトカーは、今後登場する量産車に期待される内容を具体的に 示しています。メルセデス AMG 社 代表取締役社長のトビアス・ムアースは、 次のように述べています。「このハイパーカーは、AMG がこれまで手掛けた プロジェクトの中でも最も野心的なものであり、パフォーマンス&スポーツカー ブランドを目指して、巧みな戦略的展開を続けるメルセデス AMG が到達した 新たな高みを示すものです。Project ONEは、現時点で技術的に何が実現可能 なのかを考える上での基準を引き上げるものであり、低燃費と優れたパフォー マンスを融合させることで、絶対的なベンチマークとなっています。また同時に Project ONEは、AMGが今後ドライビングパフォーマンスをどのようなものとして 考えていくかという展望を与えてくれるものでもあります」。

パワートレイン:ターボエンジン 1基+電気モーター4基

メルセデス AMG Project ONE の高性能プラグインハイブリッド駆動システムは フォーミュラ 1 からそのまま採用したもので、メルセデス AMG ハイパフォーマン ス・パワートレインズ社(本社:ブリックスワース)のモータースポーツ エキスパ ートらと緊密に協力することで実現しました。システムを構成するのは、統合度 が高く、高度にネットワーク化されたユニット。これは、ハイブリッドターボ内燃 エンジン 1 基と電気モーター計 4 基から成っており、電気モーターは 1 基がタ ーボチャージャーに組み込まれ、もう 1 基が内燃エンジンに直接取り付けられ ています。そして残りの 2基が前輪を駆動しています。
1.6L V6 ガソリン直噴ハイブリッドエンジン(電動アシストターボチャージャーを 1つ搭載)は、メルセデス AMGペトロナスチームのフォーミュラ 1レーシングマシン から直接採用されたものです。オーバーヘッド カムシャフト 4 本はスパーギア により駆動。エンジン回転数を高めるため、機械式バルブスプリングに代えて ニューマチックバルブを採用しています。エンジンはミッドシップ(リアアクスル の前)とし、回転数は公道走行モデルでは現在他に類のない 1万 1,000rpmまで 苦もなく達します。ただしこの回転数は、耐久性を確保し、そしてまたレース用 燃料ではなく一般に入手可能なハイオク ガソリンを使用する目的から、フォー ミュラ 1での上限に比べてはるかに低いレベルに抑えられています。
フロントアクスルに搭載された電気モーターも、回転数が最高 5 万 rpm と、 やはり驚異的な高回転仕様となっています(現時点の最高水準は 2万 rpm)。
超高回転型エンジンのパワーをさらに増強するハイテクターボチャージャー。 排気タービンとコンプレッサーを互いに分離して V6 エンジンの排気側と吸気側 の最適な場所に配置した上で、両者を 1 本のシャフトで接続しています。この シャフトは電気モーター1 基(出力約 90kW)を備えており、このモーターがエン ジンの運転状態に応じて、コンプレッサーを最高 10 万 rpm まで電気的に駆動 します(発進時やエンジン負荷変化後など)。なお、このユニットはフォーミュラ 1 においては MGU-H(Motor Generator Unit – Hea=熱エネルギー回生システム)と 称されています。

自然吸気 V8エンジンをも凌ぐ光速レスポンス

その大きなメリットは、あの恐ろしいターボラグ(アクセル操作に対するレスポンス の遅れ。大きなチャージャーが持つ慣性に起因)が完全に除去されたこと。 レスポンスタイムは大幅に短縮され、自然吸気 V8 エンジンをも凌ぐものとなって います。電動アシストターボチャージャーにはもう 1 つメリットがあります。それは、 エグゾーストシステムから得られる余剰エネルギーの一部を使って発電を行える こと。作り出した電気は、高電圧リチウムイオンバッテリーにエネルギー回収機能 の一環として貯えるか、あるいは追加の電気モーターに供給することで駆動力 を増強します。この追加モーターの出力は 120kW で、エンジンに直接取り付け られており、スパーギア 1 つを介してクランクシャフトに接続されています (MGU-K:Motor Generator Unit – Kinetic=運動エネルギー回生システム)。これも、 フォーミュラ 1 において最大限の効率とパフォーマンスを確保するために使われる テクノロジーです。

純電気駆動フロントアクスルを持つ新型四輪駆動

また、フロントアクスルにはやはり 120kW の電気モーターが 2 基備えられており、 それぞれ減速ギアを介してフロントホイールに接続されています。この純電気 駆動フロントアクスルによって、左右のフロントホイールを個別に加減速すること が可能になりました。これにより選択的トルク配分(トルクベクトリング)が行え るため、きわめて高いレベルの運動性能を実現することができます。このアク スルモーターの採用によって、日常の走行条件のもとでは制動エネルギーの 最大 80%を最適な形で回生ブレーキに利用することが可能になります(当社 推定)。また、このエネルギーはバッテリーに蓄えられ、それによって電動走行 可能な距離が延長されることになります。各電気モーターの制御は専用のパワ ーエレクトロニクスによって行われます。このパワーエレクトロニクスは、フロア アッセンブリーの、電気モーターに非常に近い位置に設けられています。

熱効率は最高値をマーク

内燃エンジンの熱効率は、電動アシストターボチャージャー(MGU-H)とクランク シャフトに接続された電気モーター(MGU-K)を備えることで、40%以上となる 見込みです。これは量産車にはこれまで達成しえなかった最高値であり、この 駆動システムが効率面で確保した圧倒的な優位を改めて示すものとなっています。 このショーカーでは、1 リットルの燃料から取り出せる駆動エネルギーが他の エンジンに比べてはるかに大きいので、これによって経済性とパワーを両立 させているのです。比較のために通常の量産エンジンの熱効率を見ると、 約 33~38%となっています。

主要諸元は以下のとおりです。

 

後輪駆動ユニット
1.6L V6 直噴エンジン:DOHC、4バルブ、 電動アシストシングルターボチャージャー、 電気モーター(クランクシャフトに接続)
排気量
1,600cc
後輪駆動出力
>500kW
前輪駆動出力
120kW×2
システム出力
>740kW(>1,000PS)
電動走行可能距離
25km
駆動システム
トルク可変式パフォーマンス志向 AMG 4MATIC+: ハイブリッド駆動リアアクスル、電気駆動フロント アクスル、トルクベクトリング
トランスミッション
オートモード付 AMGスピードシフト 8速マニュアルトランスミッション
0~200km/h加速
<6秒
最高速度
>350km/h

リチウムイオンバッテリーにもフォーミュラ 1テクノロジー

バッテリーセルやセル配列、セル冷却システムは、メルセデス AMG ペトロナス のフォーミュラ 1 レーシングカーと同一ですが、セルの数については、日常走行 での実用性を大きく高める仕様となります。高電圧リチウムイオンバッテリーと DC/DC コンバーター(12V 車載電気システムをサポートし、充電を行う)は、 フロントアクスルより後方のフロアに省スペースに配慮する形で設置されます。
もう 1つ革新技術として採用される高電圧駆動システム EQ Power+は、動作電圧 を通常の 400V に代えて 800V としています。高電圧化によって各要素によい 影響を及ぼすことができます。例えば、配線の大幅な細径化や、それに伴う 設計スペースの縮小および重量の軽量化などが挙げられます。

最適な出力と効率をもたらす高度な走行戦略

全体的に見て、高性能プラグイン駆動システム EQ Power+は、さまざまな用途 に対して最適に調整され、数多くの高度な走行戦略を実現することができます。 ドライブモードは、純電動走行から、きわめてダイナミックな走行モード(フォー ミュラ 1 の予選で最速ラップタイムを出すために使用される設定に相当)まで 幅広く用意されます。システムの複雑度が高いにもかかわらず、その都度の ニーズに応じて、パフォーマンスと効率の最適なバランスが常に得られます。
このプロセスにおいてメルセデス AMG のエンジニアは、フォーミュラ 1 や「SLS AMG Electric Drive」、それにダイムラー社の研究開発で得た長年の経験やノウ ハウを生かしました。
例えば、発進は 100%電動で行うことができます。この場合、はじめフロント アクスルの電気モーターだけでクルマを駆動し、クランクシャフトに接続された 電気モーターは短時間の加速の補助に使います。ドライバーがアクセルをさら に踏み込んでパワーを求めると、V6 エンジンも始動し、エンジン回転数の上昇 とともに、駆動システムのパワーがフルに発揮されます。また、レーススタート 機能を使用すると 0~200km/h 加速 6 秒未満という驚異的な加速性能を引き 出すことができます。
ドライバーが走行中にアクセルから足を離してクルマをコースティングさせると、 システムがフロントアクスルの電気駆動に切り替わります。これにより一般的な 走行状況でのブレーキング時には、失われる運動エネルギーの最大 80%を 回収し、バッテリーに貯えます。

新開発オートモード付 8速マニュアルトランスミッション

後輪へ駆動力を伝えるトランスミッションは 8 速マニュアル。メルセデス AMG Project ONE 専用にまったくゼロから開発されました。油圧作動式で、オート マチックモードで使用するか、あるいはシフトパドルを使ってマニュアル操作します。
メルセデス AMG Project ONE の優れた走行特性の土台となっているのは、 軽量かつ高強度のカーバンファイバー製モノコックボディ。やはりフォーミュラ 1 から採用されたテクノロジーです。エンジンとトランスミッションの統合について も同じで、両者ともに耐荷部材としての機能も備え、リアサスペンションを完全 に支持しています。

革新的なプッシュロッドサスペンションを採用したマルチリンク サスペンション

サスペンションの開発にも総力を結集しました。方式は前後ともマルチリンクが 採用されています。この調整式コイルオーバーサスペンションには特徴がいくつか あります。まず、両方のプッシュロッド スプリングストラットが進行方向に対して 横向きに取り付けられていること。スプリング/ダンパーユニットのこの革新的 なレイアウトによって、通常のチューブ状クロスメンバーは機能が代替され、 不要となりました。この方式を採用したことで、急な方向転換においても快適性 を損なうことなく、ロールの動きを安定して防げるようになりました。
スプリングとダンパーの全体的な設定は、完璧なバランスを保ち、容易に制御 可能で、そして何よりもスポーティなハンドリング特性を確保することを目指した ものです。これらの特性の実現には、四輪駆動とトルクベクトリングも寄与して います。ABS は標準装備、ESP®は AMG 車ではいつものことながら、3 ステージ タイプを採用しています。ESP® ON は高水準の安全性を確保するモードで、 ESP® SPORT Handling は、スポーティな走り方に適したモードです。介入にいたる ヨーアングルが大きくなります。また、ESP® OFF は ESP®システムを作動しない ようにするもので、クローズドサーキットでのスポーツ走行のためのモードです。

革新的なカーボンファイバー セミカバーを備える専用鍛造ホイール

もう 1つまったく新たな開発品として、メルセデスAMG Project ONE専用のセンター ロック式 10 スポーク鍛造アルミホイールが挙げられます。洗練されたエアロ フォルムを持つラジアル カーボンファイバー セミカバーを備えており、これに よってホイール周りの気流を最適化することで、Project ONEの空力性能および Cd値を改善します。
同時に、スポーク間に 3 つずつ設けられた扁平な換気スロットにより、ブレーキ からの放熱を最適化しています。これもまた、このハイパーカーの効率を高める べく、AMG 開発陣がきわめて細かな部分にも最大限の配慮を行ったことを 示す好例といえます。
ホイールとタイヤは、フロント:10.0J×19 インチホイール+ミシュラン パイロットスポーツ カップ 2 タイヤ 285/35ZR19(メルセデス AMGProject ONE 専用に開発)、 リア:12.0J×20 インチホイール+ミシュラン パイロットスポーツカップ 2 タイヤ 335/30ZR20となります。
ブレーキには、先進軽量カーボンセラミックブレーキを採用。軽量のため、バネ 下重量が軽くなり、ドライビングダイナミクスやアジリティが向上します。また、 セラミックブレーキは耐久性や耐腐食性、熱安定性にも優れています。さらに、 このブレーキシステムの独自性を示すデザインとして、「AMG Carbon Ceramic」 のレタリングを飾り付けた特別ペイント仕上げのブレーキキャリパーが採用 されています。

エクステリアデザイン:美女と野獣

このクルマのデザインが最高峰のモータースポーツから影響を受けたこと明らか ですが、ただ、それは何よりもまず、「Fascination is always linked with function (魅力は常に機能とつながっている)」というメルセデス AMG の基本的考え方 を具現するものです。あらゆる部分がはっきりした目的を持っており、その結果 生まれたミッドシップ コンセプトは、大きく前方に位置するコックピット、大きな ホイールアーチ、くびれたウエスト、長いリアエンドなど、きわめて筋肉質でたく ましいプロポーションを持つものとなりました。
ダイムラー社デザイン統括のゴードン・ワグナーは、次のように述べています。 「メルセデスAMG Project ONEは、メルセデスがこれまでデザインした最もホットで、 かつ最もクールなクルマであり、メルセデスのフォーミュラ 1 レーシングマシン が持つパフォーマンスに官能的純粋性という我々のデザイン哲学を融合させる とともに、パフォーマンス ラグジュアリーを完璧に体現するものとなっています。 ラインが一切なく、インテリアでは本当に必要なもの以外すべてを省いたこの ハイパーカーの強烈なデザインは、デザインにおける画期的な出来事と言える でしょう。」

フロントビュー:パワフルで機能的

フロントの特長は大きなフロントエプロンです。クルマの全幅にわたって各種の エアインテークを備えています。中央の台形部分には大きなホワイトの AMG ロゴが 飾られ、その上のボディ上にメルセデスのスリーポインテッドスターが置かれています。中央下部の AMG 特有の A ウイングは、シルバーカラーのハイライト となるとともに、フロントフェンダーへと滑らかに流れ込んでいます。
左右にある大型の際立つエアインテークは U 字形のフラップで縁取られている ほか、それぞれが水平のブラックフィン 2 本で仕切られています。また、フラットな LEDヘッドライトはボディの曲面形状に滑らかに溶け込んでいます。
ボンネットに設けられたブラックのエアアウトレットは、コックピット両側付近の 高温の気流を導くもので、これによって外気は妨げられることなくコックピット部 を通過し、ルーフ上のエアインテークに流入します。フロントアクスルのダウン フォースは、自動伸縮式フロントスプリッターとフロントホイールアーチ内の 能動換気ルーバーによって増強されており、完璧な空力バランスを取る上で 寄与しています。

張りのあるサイドビュー、大きなフェンダー

低く構えた、ダイナミックな姿のグリーンハウスは、独自のウインドウパタンに よってひと目で分かる球面構造を備えています。大きな暗色の部分は、技術的 に重要な数々の機能を持っていますが、これらの技術的なコンポーネントが、 クルマ全体のクリーンなラインと外観上のコントラストを成しています。
ルーフラインで目立つのは、フォーミュラ 1 由来のエアインテーク。エンジンに 必要な空気を大量に取り入れます。このブラックのインテークが、やはりブラック の垂直なシャークフィンへと優美に移行していきます。後者は、高速コーナリング時 に横方向の安定性を高めるものです。リアウインドウは大きく後退した位置に ありますが、インテーク/ルーフフィン ユニットと一体となっています。また、リア ウインドウを通してパワーユニットが目に入るデザインとなっています。大きな 2 つの NACA ダクトは、リアエンドのエンジンとトランスミッションのオイルクーラー に気流を最適に導くものです。
サイドビューはまた、さまざまな機能と組み合わされた、官能的でクリーンな 表面デザインを備えています。張りのある凹面はブラックのカーボンファイバー面 となっており、これがレーシングカーと同様に、ボディ周りの気流の向きを変える 役目を果たします。
ボディサイドのペトロナスグリーンによる刷毛目デザインは、フォーミュラ 1レーシング マシンのペイントワークをデザインしたアーティストによるものです。また、4 つ のホイールにぴったりフィットする筋肉質のフェンダーは、今にも走り出しそうに 見えます。
ドアはレーシングカーに見られるように、前方斜め上向きに開きます。給油口 のフラップはリア右側、プラグインハイブリッド バッテリーの充電ソケットはリア 左側にあります。

リアエンド:魅力と機能

鋭利な垂直スポイラーリップと大型の 2 分割ディフューザー(間にセンターエグ ゾーストエンドを挟む)、それに 2 段階伸縮式リアスポイラーは、高速走行での 空力効率とパフォーマンスを高めます。エグゾーストエンドは大きな円形排気口と 2 つの小型の円形開口部を備えています。フォーミュラ 1 マシンから直接採用 されたデザインです。
たくましい印象をさらに強めるリアエプロン。ブラックメッシュおよびカーボンファイバー の大きなコンポーネントを備えています。リアコンビネーションランプは左右 それぞれ、AMGブランドロゴのデザインに似て、長斜方形の発光部を 3つ配して おり、このためヘッドライトのデザインをも反復する形となっています。

インテリア:2人乗りのフォーミュラ 1

この究極のドライビングマシンの室内デザインコンセプトはサーキット上での 機能をフォローし、その先鋭的なデザインで表現されています。本格的なフォー ミュラ 1 テクノロジーをサーキットでも公道でもリアルに味わえるようになっています。 室内においても、ディテールはすべて機能を持つものであり、見た目だけで 採用されているものはありません。モノコックの内部では、デザインと機能の両面から、 簡素なコンポーネントがミニマリズムのスタイルで強調されているのです。
エルゴノミクスに配慮した曲面形状を採用した室内は、2 人分のスペースを 備えています。調整式バックレスト付バケットシートはモノコックに一体化されて います。ペダル類やステアリングホイールは調整式となっており、ドライバーは 自分に最適なポジションに合わせることができます。センタートンネルは運転席 と助手席を外観上分離しつつ、シート形状に完全に融合しており、その緩やかに 上昇する形状はミニマリズムの原則を踏まえています。

機能的構造部品を備えるインテリア

軽量構造への配慮がやはり明らかに見て取れる、翼のような形をしたスリムな ダッシュボード。軽やかで宙に浮いているように見えますが、同時に、メルセデス AMG Project ONE のモノコックの剛性を高める機能的構造部品となっています。 2 つの 10 インチ高精細オンダッシュ ディスプレイ(1 つは運転席前、わずかに 高い位置、もう 1 つはセンターコンソールの右、ドライバーに向けて配置)には、 軽量化を施した上質なソリッドメタルパーツが採用されています。
ダブルノズル型エアアウトレットはセンターディスプレイの下から吊り下げられた ゴンドラのようです。このディスプレイとエアアウトレットは一体となっており、 軽量構造志向のデザインコンセプトを強調しています。ディスプレイの長方形を 基本の形として、これをエアアウトレットやセンターコンソール(エンジンスタート ボタンを配置)にも反復しています。
これに加え、やはり滑らかに 1 つのユニットに一体化されているのが、上質な 小物入れと簡素化されたスイッチ列、エンジンスタートボタンです。小物入れに は透明なフタが付いています。

フォーミュラ 1スタイルのステアリングホイール

トップとボトムをフラット化した SRS エアバッグ内蔵ステアリングホイールは、 モータースポーツで必要とされる機能性を備えています。2 つの一体型コント ローラーも同様で、ドライブモードやサスペンション設定、LED シフトディスプレイ (ステアリングホイールの上部)などの調整機能の設定に使用します。
ドアパネルは機能的な高品質のカーボンファイバーを採用しており、スポーティ なインテリアデザインにしっくり溶け込んでいます。エクステリアの空力装備の ウイングレットを写し取るかのように、ドアパネルのデザインは途中で断ち切られ、 そのスペースに技術装備や大きく窪んだドアセンターパネルが設けられています。 エアアウトレットとパワーウインドウスイッチはアルミニウム製のカセットに組み 込まれています。パワーウインドウのスイッチは長方形で、深く奥まった位置に 配置されています。

シートの後ろに収納コンパートメント、ルームミラーに代えてディスプレイを採用

メルセデス AMG 開発担当者は、日常の移動手段としての適性や操作性に ついても忘れませんでした。小物の収納用として、座席の後ろの左右に 2 つの コンパートメントを設けています。また、エアコンディショニングシステムとパワー ウインドウを標準装備するとともに、COMAND インフォテインメントに最適な 接続性を確保しています。
ユーザーインターフェースは、独立したコンセプトとして位置付けられています。 最も重要な情報は、ドライバーの注意をそらさないよう、ステアリングホイール 上方の視線の先の道路上に表示されます。また、後方に最大限の視認性を 確保すべく、ルームミラーを廃止し、代わりにミラーカメラで後方の映像をリアル タイムで映し出すディスプレイを設置しています。ディスプレイのハウジングは アルミニウム製でルーフに完全に一体化するとともに、他のスイッチ類も配列 しています。

レーシングカーの色や素材を採用

色彩や素材はメルセデス AMGペトロナスチームのフォーミュラ 1レーシングマシン に想を得たものです。彫刻的な形のレーシングシートは、滑りにくいブラック マイクロファイバーを採用し、モータースポーツとのつながりを紛れもない形で 示しています。シート面の一部にはマグマグレーのナッパレザーを使用すると ともに、スポーティなテキスタイルのメッシュをはめ込んでいます。このメッシュ はシートの通気性を最適な形で補います。さらに、イエローのコントラストステッチ も施しています。

メルセデス AMG Project ONE:未来志向のドライビングパフォーマンス(走行性能)

メルセデス AMG Project ONEは、現在のフォーミュラ 1ハイブリッドテクノロジー をそのまま公道モデルに移植し、最高水準のサーキットパフォーマンスと日常 の移動手段としての完璧な実用性を兼ね備えた究極のドライビングマシンと なるだけではありません。それはまた、パフォーマンス志向のプラグインハイブリッド 駆動技術や、さらに進化したサスペンションレイアウト、拡張された車載エレクトロニクスに関する包括的な知見を得る目的で利用されるのです 。その知見が後に AMGの量産モデルに役立つことになります。Project ONEチームでは、このビジョン を成功裏に公道モデルに移し替えるべく懸命な取り組みを進めています。

最後に

このベンツのコンセプトカーがカッコよすぎて、ついついプレス資料抜粋と言いながらほとんど全部の紹介となり、1ページで1台の紹介しかできず、申し訳ありません。随時ほかのクルマもアップいたしますので、もうしばらくお待ちください。